メインフレームの移行の最大のリスクはベテラン技術者の退職と技術継承


タイトルだけで全て終わりそうだけどw、まあいいか。

メインフレームの事情について興味深く読んだ。
メインフレーム=ホストが最近では崩れ始めてるのはそのとおりだと思うし、
ホストが圧倒的な高可用性が出せるのも事実だと思う。
実際ちょっと前にホストの人と話をしたときには、最近のオープン系の進化も凄いけど
ホストまわりの進化も並じゃないって言ってた。ハードウェアの進化の恩恵はかけられるコストと比例したりするので、
オープン系よりもホストなどの方がより直接的に受けれるっていうのもあると思う。


唯一違和感あったのは人材についてのところかな。

でも、メインフレームじゃなくていい理由が整ってきた昨今、未だレガシー残存なところ、
特に金融機関とかが多くあるのはなぜかというと、信頼性は単なるお題目に過ぎなくて、本当は、

* おまんまの食い上げになってしまう技術者の救済
* 一斉にリプレースする体力のない巨大システム

等の理由があるからです。前者はわかりますよね。他の世界では生きていけない技術者、
特に、コンピューター導入初期は金融機関なんてのは先駆者ですから、社内の精鋭たちがシステム開発に血道を上げていたわけで、
そんな人たちの働く場を取り上げるわけには行きませんよね。で、そこに巣くうベンダーや開発会社も同様なわけです。

http://d.hatena.ne.jp/NOV1975/20080721/p1

メインフレームの技術者の人が他の世界では生きていけない技術者だとは思わないですが、
それよりも重要な問題について触れていないなあと思った。
それは、メインフレームを見ることのできる技術者の絶対数が減ってきていることです。
特に団塊の世代と言われている世代の技術者の方々が退職してしまっている昨今では絶対数は更に減ってきていて、
それらを受け継ぐ技術者不足が深刻な問題です。


輪をかけてそれらに拍車をかけているんじゃないかなと思うのが、大手のメインフレームベンダが手を引いてきていることです。
これはここ数年の動きだと思います。
何が問題かの大筋のシナリオを描いてみると、大手のメインフレームベンダが手を引くと、それらをリプレースする必要が出てきます。
お客さんは勿論先の無いハードウェアをいつまでも抱えたくはないわけです。
しかし企業の基幹系をいきなりオープンにするかと言われると、基幹系なので最も手堅い方法を取りたいというお客さんも相当数いるわけで
メインフレームからIBMさんや日立さんのようなメインフレームへの移行プロジェクトが立ち上がったりするわけです。
これはここ最近では一部オープン化を含め良く見かける話じゃないかなと個人的には思うわけです。


で、よしんば移行先が全てオープン系であったとしても、移行元をきちんと把握している人がいないような状況では何が起こるかわかりません。
まさに移行対象の調査から試行錯誤の連続になってしまうでしょう。また、基幹系なので本番障害は社会的にも波及してしまうような恐れもあり、
それに対しても高いリスクを支払わなくてはいけません。
じゃあ移行しないって選択肢もお客さんは選択できるわけで、これらの高い移行リスクをみたときにその選択をしても
何ら不思議じゃないなと自分は思います。つまり総じてリスクは非常に高いです。



これらはメインフレームの仕組みやその上にのるソフトウェアがどうなっているかをしっかり把握していた世代の人達が
抜けてしまうことで引き起こされる問題です。じゃあ技術継承をしっかりしてメインフレームをわかる技術者を育てればと
きっと思うでしょうが、それもなかなか難しいのが現状のようです。
というのもインターネットなどで広く普及している技術のほとんどはオープン系なので、メインフレーム上でのスキルを
どのように教育・伝承するかは社内やプロジェクトで閉じてしまっている事が多いからです。
つまり技術者が育つまでに時間がかかり、しかもそのスキルはレバレッジが効かないことが多いんじゃないでしょうか。
非常に難しい問題です。


というわけで、

メインフレームとサーバー機とPCの差は載っているOSではなく、ハードをどれだけ自分で弄れるか、という部分になってきていると思う。
ソフトウェア作っているものからすると、どれでもあんまり変わらなくなってきた。さすがに銀行の巨大ホストシステムも、ホスト⇒オープンという流れになりつつある。

http://d.hatena.ne.jp/NOV1975/20080721/p1


まとめるとこれらの課題を考慮すると、一概にハードウェアの問題だけではすまない部分てあるんじゃないかなと思う。
自分が上であげたような移行リスク全部ひっくるめて、じゃあそれでもオープン系!と言うために、何をしなくちゃいけないかを
みてみると色々課題があるんですよって言いたい。ほとんどが技術継承と人に関するリスクですが、だからこそなかなか厄介です。


メインフレーム事情にそんなに詳しいわけではないですが、こういった問題があるんじゃないかなという雑感でした。


P.S.あとはてぶでid:t-tanakaさんが書いてますが、IO処理のパフォーマンスを考えるとまだまだPCはかなわないよって意見にも激同。


やっぱオープン系じゃんという人には、まだまだ世はメインフレームを欲しているかもよというこちらのデータはお奨めです。

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エンタープライズの真実については下記参照。

実はEnterpriseの真実の姿はやっぱりまだまだCOBOLじゃないかと思ったりする。
世界のトランザクション処理の7割がCOBOLは本当かどうか確かめる術はないけど。
JavaがEnterpriseの分野取りたいなら、COBOLのシェアを取らないといけない。

やっぱりメインフレーム+COBOLを甘く見ちゃいけないよね。

http://d.hatena.ne.jp/shot6/20080623#1214184506


(追記)
ちょっと勘違いしてた部分がありました。
現在ではハードウェアレベルではメインフレームもPCサーバも変わらないそうです。
凄い進化だ。。。。これは勉強になりました。ありがとうございます。