「オープンソースソフトウェアの育て方」 -全てのオープンソースに関わる人にお奨め-
以前にもお奨めしていた「オープンソースソフトウェアの育て方」が書籍になったので購入して読んでみました。
内容は目から鱗です。オープンソースというものに対してとても詳細にかつ適度な厳密さをもって書いてあります。
大元の内容は著者の5年にわたるSubversionプロジェクトの開発・運営の経験が元のようです。
実際に、一人でオープンソースをやっている・やっていく人にはもしかしたらあまり関係がない本かもしれませんが、誰かとコラボレーションをしよう・誰かと議論をしたうえで何かを作っていこうとする人にはとてもとても大事なことが書いてあります。また、オープンソース開発者が見落としがちなこと・見てみぬふりをしがちなこと(例えば見た目が重要)などにも、きちんと言及しています。
またプロジェクトのリーダーや管理者が取るべきロールなどにも言及がされています。優しい独裁者・合議制などです。
一般にこのあたりは議論されることがとても少ないと思うのですが、こういうところまで書いてあるのは僕にとってとても有益でした。
他にも、
- リリースやそれを安定させるプロセス
- 開発者は日々なにをすべきか・どのように向き合うべきか
- メンバとコミュニケーションはどうとるべきか
- プロジェクトが分裂してしまうリスクについて
- コミッターの選び方
- ライセンスの選定
まで項目は多岐にわたり、どれも示唆に富んでいます。この本全体で通してみても、実は技術的な問題というのはトータルではあまり無く、開発者同士がどう接するか・どうコミュニティを醸成していくか・どうプロジェクト分離のリスクを避けるかなどという極めて人に関するコラボレーションの話題が豊富です。やっぱりそういう所が大事なんだなあと改めて感じました。
僕は4章(プロジェクトの政治構造と社会構造)・6章(コミュニケーション)・7章(パッケージの作成、リリース、日々の開発)がとてもためになりました。T2プロジェクト含め、初心に返ってまた取り組んでいこうと思います。
まずはオープンソースで何かを始めようとする人・オープンソースで既に始めている人・オープンソースプロダクトを使っている人はこの本をぜひ読んで欲しいなと思います。それでぜひ何か始めてみて欲しいと思います。T2プロジェクトも、小さく扱いやすい依存の少ないWebフレームワークが欲しいという非常に個人的な要望から始まりました。自分のこんなの欲しいなーというのをぜひオープンソースで形にしてみてください。
以前のエントリ
- 作者: Karl Fogel,高木正弘,高岡芳成
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2009/07/27
- メディア: 大型本
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